プロ野球・FA権(フリーエージェント)取得の条件をわかりやすく解説!
ポストシーズンが終わっても何かと話題の絶えないプロ野球界。
中でもプロ野球ファンが特に注目しているのは球団のメンバーが変わるイベント…FAや戦力外通告ではないでしょうか?
特にFAは、自分が応援している球団の主力選手が他球団に移ってしまう…。もしくは他球団のスター選手が我が球団に…!などなど、とっても気になるところ。
しかし、FAの仕組みは意外と知らない方が多いのではないでしょうか?
今回は少々複雑なFAの仕組みについて、取得条件や補償、ランクなどなど徹底解説いたします!
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もくじ
FA(フリーエージェント)権とは?
FA権とはフリーエージェント権の略で、NPBが定めるFA資格条件を満たした選手はいずれの球団とも選手契約を結ぶことができるようになることです。
FA権には国内FA権と海外FA権の2種類があり、海外FA権を取得した選手は外国のいかなるプロフェッショナル野球組織の球団も含め、国内外のいずれの球団とも選手契約を結ぶことができます。
つまり、メジャーリーグに挑戦する際は海外FA権を取得する必要があるわけですね。昨年メジャー行きを果たした元西武・秋山選手はこの海外FA権を行使しました。
ちなみに元横浜・筒香選手は海外FAではなくポスティングという別の制度での挑戦でしたが、ポスティングについてはまた別の記事でご紹介したいと思います。
FA権の取得条件は?
それでは、FA権を取得するためにNPBではどんな条件を定めているのでしょうか?
FA権を取得するためには、一軍選手登録されていたシーズンを規定の年数満たすことが条件となります。
FA権取得に必要な年数は以下の表の通りです。
ドラフト年・出身 | 国内FA | 海外FA |
2006年以前・高卒 | 8年 | 9年 |
2006年以前・大卒、社会人卒 | 8年 | 9年 |
2007年以降・高卒 | 8年 | 9年 |
2007年以降・大卒、社会人卒 | 7年 | 9年 |
海外FA権は全員9年ですが、国内FA権は2007年ドラフト以降の大卒・社会人卒選手は7年になるんですね。
シーズンのカウントの仕方
FA権を取得するためには規定のシーズン数の一軍選手登録を満たすことはわかりましたが、ではシーズン数のカウントはどのようにするのでしょうか?
シーズン中145日以上の一軍選手登録で1シーズン
シーズン中、145日以上の一軍選手登録で1シーズンとカウントされます。
試合の出場数は関係なく、単純に一軍選手登録されていた日数のみでカウントします。
ですので代打、代走で試合に出場する選手もFA権を取得していきます。
また、クライマックスシリーズも日数にカウントされます。
プロ野球は例年3月下旬~10月上旬くらいの約6ヶ月間(約180日)シーズンが続くので、常習的に一軍に登録されている選手なら問題なくシーズン数を積み重ねていくでしょう。
ちなみに、例えば1シーズン中ずっと一軍選手登録されていて合計日数が180日でシーズンを終えた場合。この場合は145日以上の日数はカウントされず1シーズンとします。
一軍選手登録が145日に満たなかった場合
では、もしシーズン中の一軍選手登録が145日以下だった場合はどうなるのでしょうか?
もちろんその年は1シーズンとしてカウントされませんが、別の年と足し合わせて145日以上になれば1シーズンとしてカウントされます。
例えば、2019年の一軍登録日数が70日で、2020年は75日だったとしたら。2019年と2020年の合計日数を足すと145日になるので、1シーズンとカウントされます。
怪我に対する特例 日数補填
万が一怪我をしてしまって一軍選手登録を抹消されてしまった場合、特例で日数が補填されます。
2月1日から11月30日までの間、グラウンド上での故障もしくは怪我により一軍登録を抹消された場合が対象となります。試合中のみならず練習中の故障・怪我も対象となります。
前提条件として前年度に一軍出場登録が145日以上であることが定められていますが、登録抹消から二軍公式戦出場までの日数のうち最大60日が補填されます。
FA権は再取得も可能!
取得したFA権を行使した後はどうなるのでしょうか?
FA宣言選手として公示された選手のFA権再取得は、移籍・残留を問わず4年後(4シーズン後)となります。4年後に再取得したFA権は海外FAが可能です。
FA移籍した際に発生する補償
今度はFA宣言をした選手と契約を結んだ球団の話です。FA権を行使して他球団に移籍した選手が補償対象選手であった場合、移籍先球団は前球団に「人的補償」と「金銭補償」をしなければいけません。
「人的補償」とは?
「人的補償」として移籍先球団は、前球団が指名する選手1名を移籍させなければいけません。
しかし、前球団は以下にの獲得制限に該当する選手は指名することはできません。
- プロテクトした28名の選手
- FA権取得により外国人枠の適用外になった選手を含む外国人選手
- 直近のドラフトで獲得した新人選手(まだ保有選手に含まれていないため)
また、複数年契約中やトレードなどで保有選手になった日本人選手も、プロテクト枠に含まれていなければ指名することができます。
このプロテクトについては下の項目で詳しく説明いたします!
「金銭補償」とは?
移籍先球団は前球団に対し、獲得した選手のランクに応じて旧年俸による「金銭補償」をしなければなりません。
金額は獲得選手のランク、人的補償の有無によって変わります。
人的 補償 | ランクA | ランクB | ランクC |
なし | 旧年俸の0.8倍の金銭 (2度目以降のFAは0.4倍) | 旧年俸の0.6倍の金銭 (2度目以降のFAは0.3倍) | 補償 なし |
あり | 選手1名 + 旧年俸の0.5倍の金銭 (2度目以降のFAは 旧年俸の0.25倍) | 選手1名 + 旧年俸の0.4倍の金銭 (2度目以降のFAは 旧年俸の0.2倍) | 補償 なし |
補償の有無はランクで決まる
前述した通り、補償の内容は獲得選手のランクで決まります。
選手のランクを決めるのは年俸です。外国人選手を除いた年俸の順位でランクを決めています。
- Aランク・・・年俸上位1~3位の選手
- Bランク・・・年俸上位4~10位の選手
- Cランク・・・年俸11位以下の選手
また、昨年年俸が大幅にアップした巨人・小林選手ですが、球団側がFA権獲得を前にランク上げを図ったのでは?と噂されているようです。
【関連】巨人・小林誠司の年収は1億!高額だがトレード申込み殺到中…?
FA制度 「プロテクト」とは
「人的補償」の項目で紹介したプロテクトについて詳しく説明します。
移籍先球団は選手の流出を防ぐため、28名の選手を人的補償の対象外にすることができます。
主力選手や生え抜き、人気選手などが選ばれます。
このプロテクト枠に入っていない選手であれば前球団は誰でも指名できるため、まさかあの人が…!と衝撃の移籍となることもあります。
2018年は広島・丸佳浩選手の人的補償として長野久義選手が、西武・炭谷銀仁朗選手の人的補償として内海哲也選手が移籍したことで世間を騒がせました。
【FAカウンター】FA権取得まであと何日?
ここまでFA権の取得条件などについてまとめてきたところで、気になるのは各選手のFA権取得までの日数ですよね。
大好きなあの選手が他球団に行ってしまうとなればファンとしては大問題です!
以下のサイトで各選手のFA権取得までの日数をカウントしているので、気になる方はチェックしてみてください!
また、2021年にFA権取得見込み選手については以下の記事で詳しくまとめています!
→【2021】プロ野球FA権取得見込み選手まとめ!注目の選手は誰?
まとめ:FA権の取得には条件が多数
FA権についてのまとめは以上です。
取得条件から行使して契約、その後の補償までと色々と複雑な制度ですね。私もまとめるのが大変に思いました(^^:)
しかし、このような制度があることで選手が望む環境を手に入れることができます。
もし自分の応援している球団から選手が出て行ってしまったら悲しいですが、選手が新しい環境でより一層活躍してくれるなら嬉しいかな…と思います!
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