沢村賞の条件・選考基準は?なぜ2019年は該当者なし?
日本プロ野球界の特別賞の1つであり、そのシーズンの最優秀投手に与えられる「沢村栄治賞」。
2017年、2018年と巨人・菅野智之投手が2年連続で受賞したことで話題になりましたね。
では、沢村賞とはどんな基準で選考されるのでしょうか?
今回は沢村賞の受賞条件や選考基準、「該当者なし」とはどんな年かなどをまとめました!
↓こちらの記事も読まれています↓
もくじ
沢村賞とは?
沢村賞とは、正式名称を「沢村栄治賞」と言い、そのシーズンの最優秀投手に与えられる特別賞です。
1947年、読売新聞社が戦前のプロ野球黎明期において豪速球投手として名を馳せた沢村栄治の栄誉と功績を称えて制定しました。
当初はセリーグの選手のみが選出されていましたが、1989年から対象がパリーグにも拡大され、全球団から選出されることになりました。
沢村賞の条件・選考基準
沢村賞の選考基準は以下の7項目ですが、必ずしも7項目すべてを満たさなければならないという規定はありません。
- 登板試合数:25試合以上
- 完投試合数:10試合以上
- 勝利数:15勝以上
- 勝率:6割以上
- 投球回数:200イニング以上
- 奪三振:150個以上
- 防御率:2.50以下
上記に加え、2018年度より補足項目としてクオリティ・スタートを満たすべき事が定められています。
また、沢村賞歴代受賞者70名のうち、各選考項目を満たした選手の数は以下の通りです。
登板試合数 | 69 |
完投試合数 | 52 |
勝利数 | 69 |
勝率 | 65 |
投球回数 | 56 |
奪三振 | 59 |
防御率 | 48 |
登板、勝利数、勝率は多くの選手が満たしていますが、防御率などは48名に留まるなど、項目によって違いがあるようです。
また、ご覧のように全ての項目において未達成者が必ずいることも特徴的です。
このことから、必ずしも全ての項目を満たしていなくても沢村賞受賞者に選考される可能性があるということがわかります。
候補者が複数いる場合の選考ポイント
これまで複数候補者がいた場合の結果を比較してみると、以下の選考ポイントがありそうです。
- 勝利数が多い投手
- タイトルを受賞している投手
- 沢村賞初受賞となる投手
- 選考項目で優っている項目が多い投手
またこの他にも、何らかの項目で両リーグトップの成績を収めていることなどを選考理由に挙げられることもあるため、シーズンを通しての成績を包括的に評価していることが伺えます。
歴代W受賞
沢村賞では過去に2度、W受賞となった年がありました。
- 1966年:村山実(阪神)、堀内恒夫(巨人)
- 2003年:井川慶(阪神)、斉藤和巳(ダイエー)
2003年のW受賞に関しては、両選手がリーグ20勝・投手3冠を達成した年であり、非常にレベルの高い選考となりました。
また、1966年は堀内恒夫が高卒ルーキーであったことも選考に大きく影響したのではないかと言われています。
このように、非常に高いレベルでの選考か何らかの特殊な要因が絡む場合でなければW受賞は難しいようです。
なぜ、2019年は該当者なし?
沢村賞は選考基準全ての項目を満たしていなくても受賞できるようですが、昨シーズンは「該当者なし」となりました。
「該当者なし」の理由や、これまでどんな年に「該当者なし」となってきたのかを解説したいと思います。
「これ以上、レベルを下げたくないというのが本音」
今季は選考基準の中でも重要視される投球回数(200以上)、完投数(10以上)をクリアした投手が、両リーグともにゼロ。
堀内委員長は「これ以上、レベルを下げたくないのが本音。完投なしでいいよとなると、沢村さんの名前に傷を付けると思っている」と説明した。
SUNSPO.COM
昨年は2年連続受賞の菅野投手も腰痛により登板は少なかったですし、投球回数、完投試合達成者が両リーグともにゼロというのは由々しき事態ですね。
元々、沢村栄治氏の栄誉を称えるためにできた賞なので、簡単にレベルを下げていくのはどうかと思ってしまいますね。
該当者なしは過去に4度
沢村賞、該当者なしの判定が下されたのは過去に4度ありました。その該当者なしの年はどんな成績だったのでしょうか?
平松政次(大洋)、江夏豊(阪神)が6項目をクリアしたが勝率で届かず「該当者なし」。パリーグでは山田久志(阪急)が7項目クリアしたが、当時はセリーグのみの表彰だったため受賞者なし。
江川卓(巨人)が6項目クリアしたが、勝率で届かず受賞を逃しました。パリーグでは木田勇(日ハム)が全項目達成しましたが、パリーグだったため受賞ならず。
この年は郭源治(中日)の4項目クリアが最高。パリーグでも今井雄太郎(阪急)らの5項目クリアが最高
4項目以上をクリアした選手なし。セリーグで防御率トップが基準を満たしていない2.60、15勝以上を挙げた投手もゼロ、完投数10以上は両リーグ合わせて一人もいませんでした。
まとめ:沢村賞は現在のシステムに合っていないところも
沢村賞の条件・選考基準についてのまとめは以上です。
沢村賞が昔はセリーグのみの選出だったことや、選考ポイントなど記事を書くまで知らなかったことが多かったです。
しかし現在のプロ野球では先発・中継ぎ・抑えの分業制が根付いていることもあり、10完投など難しい項目もあるようで、選考基準の見直しが求められているところもあるようですね。
ですが、投手の成績について包括的に評価されていることがわかったので、来年からどんな選手が受賞するのか注目です!
↓こちらの記事も読まれています↓