野球・守備指標UZRとは?計算方法や評価基準などわかりやすく解説!
野球を見ていると選手を評価する基準で「UZR」というものが出てきますよね。
守備に関係があることはわかるけど、意外とよくわからないという方は多いのではないでしょうか?
今回はUZRについて、計算方法や評価基準なども交えてわかりやすく解説します!
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もくじ
UZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)とは?
UZRとはアルティメット・ゾーン・レーティングの略称で、野手の守備を評価するための指標として活用されています。
「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を示す指標です。
かつては野手の守備範囲を評価するレンジファクター(RF)という指標が使われていましたが、以下のような欠点がありました。
- 途中出場の多い選手の守備力を評価するには不適切
- 投手の奪三振率やゴロ・フライの傾向で偏りが出る
- 投手の左右の投球回数割合・チーム守備力が指標に影響する
UZRは上記の欠点を補正するために考案されたゾーンレーティングを発展させたもので、メジャーリーグでも野手の評価指標として活用されています。
UZRの計算方法
UZRの計算方法を簡単に説明すると
- グラウンドを多数のゾーンに区分し、各ゾーンでどのような打球がアウトになっているかリーグ毎に平均数値を求める
- 野手のプレーを相対評価し、プレー毎にプラス評価・マイナス評価を計上
- 最終的な各選手の数値と平均数値を比較して守備力を評価する
というような流れになります。
次の項目から、ゾーン・プラス評価・マイナス評価など詳しい内容を説明していきます!
ゾーンの区分と平均数値の算出
まずは「ゾーンの区分と平均数値の算出」について、Wikipediaでは以下のように解説しています。
UZRの算出においては、まずグラウンドを多数の「ゾーン」に区分し、各ゾーンについて発生した打球の種類(バント・ゴロ・外野へのライナー・外野へのフライ)や速度(遅い・中間・速い)を記録する。
そしてそれぞれのゾーンにおいて生じた特定の種類の打球についてリーグ全体でどれだけのアウトが記録されたかを算出する。
Wikipedia
最初にグラウンドを「ゾーン」に区切り、各ポジションの評価範囲を決定します。
その後、各ゾーンでどのような打球がアウトになっているのか打球の種類・速度などを記録しアウトの平均数値を算出。
ここで算出された平均数値を元に各ポジションの選手の守備を評価していきます。
プラス評価
算出された平均数値を元に各プレーを評価していきますが、「プラス評価」の具体的な方法についてWikipediaからの引用を掲載します。
下で簡単にまとめているので、引用は読み飛ばしても大丈夫です!
例として、平均的には15%の割合で中堅手がアウトにし、10%の割合で左翼手がアウトにし、残りの75%はヒットになるような外野へのライナーを考える。この打球について、仮に中堅手が捕球しアウトを成立させたなら、通常は25%しかないアウトの見込みを100%にしたものとして中堅手は100%と25%の差分である0.75「プレー」の評価を得る。
さらにUZRは守備の評価を得点の単位により行うため、プレー数の評価に得点価値を掛け合わせる。一般的な外野への安打はチームの失点を約0.56点増やす。また、アウトは失点を約0.27点減らす。すなわち、ヒットになるはずだった打球をアウトにする働きは守備側チームの失点の見込みを0.83点減らすことになる。プレー数0.75に得点価値0.83を乗じた0.6255点が、当該中堅手がそのライナーをアウトにしたことによって「防いだ失点」となる。
Wikipedia
プレーの評価に対して与えられる点の計算方法が複雑ですね。
簡単にまとめると
- 100%-アウトにする確率のリーグ平均値=プレー評価点
- 防いだチームの失点見込みを算出
- 算出した数値を掛け合わせる(1×2=評価点)
上記のように算出します。
単純に+1ではなく、防いだ失点見込みなどを算出して計算するところが複雑に感じますね。
マイナス評価
マイナス評価の具体的な方法について、Wikipediaでは以下のように記載されています。
こちらも下で簡単にまとめているので、引用は読み飛ばしても大丈夫です!
仮に上記で例とした打球がヒットになった場合、中堅手と左翼手が共にマイナス評価を受ける。この際、まずヒットの発生によってどれだけの損害を被るかを計算する。通常25%はアウトになる見込みだったのだから、アウトにできなければ通常に比べて0.25プレーの損失が生じたことになる。
そしてUZRではこの0.25プレーの損失を、責任を持つ守備位置で分配していく。通常、左翼手がアウトにする見込みが10%、中堅手が15%であるから、左翼手は通常なら発生されるべきだったアウトについて40%(10/25)の、中堅手は60%(15/25)の責任を負う。すなわち、左翼手は0.25プレーの40%で0.1プレー、中堅手は0.25プレーの60%で0.15プレーのマイナスである。
打球の得点価値は前述したように0.83点であるから、もし打球がヒットになれば、左翼手は0.1プレーに0.83点を乗じた0.083点、中堅手は0.15プレーに0.83点を乗じた0.123点だけチームの失点を増加させたとしてマイナス評価される。つまり、UZRでは、一般的にその守備位置の選手がアウトを成立させるべき打球をアウトにできなかったときにマイナス評価が与えられるのである。
Wikipedia
プラス評価に比べて更に複雑に見えますが、評価点の決め方は同じです。
マイナス評価の場合は評価点を関係するポジションの選手毎に分配することが加わっています。
打球に関係するポジション毎にアウトにする確率を計算し
「評価点×アウトにする確率=各ポジションの評価点」
となります。
UZRの評価基準
UZRの評価基準は以下の通りです。
UZR | 評価 |
---|---|
+15 | ゴールドグラブ級 |
+10 | 優秀 |
+5 | 平均以上 |
0 | 平均 |
-5 | 平均以下 |
-10 | 悪い |
-15 | 非常に悪い |
UZRは誰が算出している?
UZRの評価は打球の種類や速度、各ゾーンのアウト率など膨大なデータを使用して評価しなければならないため個人で計測するのは難しいです。
日本では2009年からデータスタジアム社がUZRの算出を始めたと言われ、現在ではDELTA社がUZRのデータを公開しています。
DELTA社のデータでは
- RNG:守備範囲の広さ
- ERR:エラー数
- DPR:内野手の併殺の貢献度
- AMR:外野手の捕殺・進塁阻止の貢献度
の4つの項目を合算した総合的な守備指標としてUZRを算出しています。
日本プロ野球だと日本ハムファイターズが早くからUZRを参考にしているそうです。
ちなみにメジャーリーグでは各球団で独自に算出したり、データを取り扱う機構が算出しています。
UZRの弱点や信頼度は?
複雑な方法で算出され、また他の守備指標を補正するために考案されたUZRですが弱点もあります。
- 球種・速度など膨大なデータを用いるため1年単位で見ると数値のバラつきが激しい
- 打球処理が極端に少ない投手・捕手の評価が難しい
- 相対評価であるため、成績の悪い選手がいると平均的な選手の評価が高まる
UZRとは「その年に同リーグの同ポジションの選手と比較して、どのくらい優れた守備を見せたか」を評価する指標になっています。
そのためひどく調子の悪い選手がいた場合は平均値自体が下がるため、平均的な選手の評価は上がる傾向にあります。
また投手・捕手は打球処理よりもピッチングにおける制球力やリード力など他の技術が重要視されるため、UZRで守備を評価するのは難しいです。
まとめ:UZRはその年の同リーグ・同ポジションの選手と比較した守備指標
UZRに関するまとめは以上です。
膨大なデータを用いて、さらに複雑な計算で評価を算出している守備指標だということがわかりました。
色々とまとめてきましたが、「その年の同リーグ・同ポジションの選手と比較してどのくらい優れた守備を見せたかがわかる指標」ということを覚えていれば正しく見られるかと思います!
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