プロ野球「リクエスト制度」のルールは?回数・対象・成功率まで徹底解説!

2018年から、日本プロ野球で 「リクエスト制度」が導入されました。

この制度は審判の判定に異議がある場合、ビデオ映像でリプレー検証を求めることができる制度です。

導入後、多くの試合でリクエスト制度が活用されましたが、リクエスト制度のルールとはどのようなものでしょうか?

本記事では基本ルールから対象のプレー、導入後のトラブルや成功率・誤審率まで徹底解説します!

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リクエスト制度のルールは?

それでは早速、リクエスト制度のルールから解説していきます!

リクエスト制度の基本ルールは以下の5つです。

  1. 1試合で2回まで可能。(延長戦では回数がリセットされ、1回まで可能)
  2. 判定が覆った場合、リクエスト回数は減らない。
  3. リプレー検証時間は5分以内。確証が得られない場合は審判団の判断を尊重。
  4. リクエストは監督が行う。
  5. リプレー検証の判定に異議があった場合は退場処分。

リクエスト制度はメジャーリーグ(MLB)で2014年から導入されている「チャレンジ制度」を真似たものとのこと。

これまでホームラン、本塁クロスプレー(コリジョンルール)のみに適用されていたビデオ判定が、より広範囲のプレーに適用されるようになりました。

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リクエスト制度の対象となるプレー

対象となるプレーは、以下の7つを除く全てのプレーです。

  1. ストライク、ボールの判定
  2. 自打球
  3. インフィールドフライ
  4. 塁審より前の打球
  5. ハーフスイング、完全捕球
  6. 走塁妨害、守備妨害(※コリジョン、併殺崩しは適用可)
  7. ボーク

審判より前方の打球や審判の裁量に基づく判定にはリクエストを要求できません。

意外と「ㇺッ」と思うことがあるプレーが含まれていますが、ここまで細かいことにこだわっていると試合が全然進まなくなってしまいそうですね!

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リクエスト制度導入後のトラブル

リクエスト制度が導入されてからしばらくはトラブルが球界を騒がせることがありました。

中には誤審が試合の結果に大きく影響し、新聞の一面に掲載された事例も…

今回は代表的なトラブル3つを厳選してご紹介します。

リクエスト検証後のホームラン誤審

こちらはリクエスト制度導入後、最も大きなトラブルではないでしょうか。

2018年6月22日 オリックスvsソフトバンク

同点で迎えた延長10回表、ソフトバンク・中村晃の打球がファールと判定。 これにソフトバンク・工藤監督がリクエストを要求したところ、ホームランへと判定が覆り、これが決勝点となってソフトバンクが勝利。

しかし、判定に納得いかないオリックス・福良監督やオリックス陣営が猛抗議し、審判団と共に再度ビデオ映像を確認したところ、審判団が「ファールだった」と誤審を認めた。

この本塁打誤審の原因は、検証に使われた映像が1種類のみで不鮮明であったこと検証時間が短く判定を急がせたことが指摘されました。

リプレー検証後の誤審とあって、大きな問題となった事件です。

塁審より前の打球に関する事例

2018年8月19日 楽天vsロッテ

3回裏、楽天・今江が一邪飛を打ったように見えたが、ワンバウンドしたとしてファールと判定された。ロッテ・井口監督が抗議するも、塁審より前方の打球ということでリクエストは認められなかった。

2018年8月15日 ヤクルトvs巨人

巨人・吉川光がピッチャーライナーをノーバウンドで捕球したように見えたが、ワンバウンド捕球との判定。巨人・高橋監督が抗議したが、塁審より前方の打球ということでリクエストは認められなかった。

塁審より前の打球であっても、リプレー検証によってアウト・セーフの判定が覆る可能性があるプレーも多くみられましたが、リクエストが認められることはありませんでした。

ハーフスイングに関する事例

2018年5月3日 ヤクルトvs中日

中日・亀澤が左膝に死球を受けた際、亀澤がスイングしているように見えたため、ヤクルト側がリクエストを要求。しかしハーフスイングはリクエスト対象外のため、死球へのリクエスト扱いとなり判定は変わらなかった。

2018年9月14日 横浜vs巨人

巨人・岡本に対する死球判定に対して、横浜側がリクエスト要求したものの判定は変わらず。これに対して、ハーフスイングだと抗議した横浜・パットンが退場となった。

ハーフスイングには明確な基準がなく、審判の裁量によって判断されるためリクエスト対象外となってしまいます。

そのため、リクエストを要求しても「死球」に対する検証となってしまい、審判の判定通りとなるケースです。

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リクエスト成功率と誤審率

それでは、実際にリクエスト制度を利用した場合の成功率を調べてみました。

2018年に導入されたリクエスト制度ですが、導入翌年の2019年シーズン終了後に詳しく集計が取られていたので、少し古いですがこちらのデータを中心にまとめます。

19年のリクエスト回数は584回(18年494回)と増加傾向で、変更回数は176回(18年162回)。判定の変更率は30・1%(18年32・8%)と下がった。

スポーツ報知

2019年のリクエスト成功率は30.1%ということでしたが、つまり年間の怪しい判定の約30%は誤審であったとも捉えられます。

「プロ野球に誤審はつきもの」とも言われるようですが、選手やファンの皆様が納得できる判定であった方が良いのではないかと思います。

ちなみに2020年のリクエスト成功率は平均32.6%。怪しい判定は大体30%は誤審説は正しそうですね。

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監督別リクエスト成功率

こちらも2020年のデータにはなりますが、監督別にリクエスト成功率をまとめたデータがありました。

監督 成功 失敗 成功率
三木監督(楽天) 22 28 .440
ラミレス監督(横浜) 20 30 .400
栗山監督(日ハム) 21 33 .389
原監督(巨人) 12 19 .387
井口監督(ロッテ) 16 27 .372
佐々岡監督(広島) 15 26 .366
辻監督(西武) 14 31 .311
工藤監督(ソフト) 8 22 .267
高津監督(ヤク) 10 31 .244
矢野監督(阪神) 10 32 .238
中嶋監督代行(オリ) 4 14 .222
与田監督(中日) 7 28 .200
西口監督(オリ) 4 16 .200

リクエスト成功率のランキングですので、リクエスト回数は監督によってまばらです。

4位の原辰徳監督はそもそものリクエスト回数が少なく、確実にリクエスト成功となるプレーを狙ってリクエストしているため成功率が高いようですね。

逆に下位のヤクルト・高津監督や阪神・矢野監督は選手からのアピールがあればほぼ受け入れてリクエストしていたため成功率は下がっているようです。

また、審判員別のリクエストの正解・誤審の回数を計測したデータもあるので参考にしてみてください。

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リクエスト制度について思うこと

今回リクエスト制度についてまとめて、試合が面白くなることもあれば誤審でモヤモヤすることもあることがわかりました

私も先日、巨人戦を見に行った際のリクエスト判定に納得がいかない事件がありモヤモヤしました!まぁ巨人が勝ったので良いですけど!

球場であればビジョンに、中継であれば試合中断の間にリプレーが流れてファンも一緒に動画を見て検証できるので、疑惑が残るとtwitterなどのSNSで活発な議論が起こりますよね。

「難しい場面なら審判員の判断を尊重」というルールもありますが、一ファンの私の意見としては結果だけではなく「なぜこの判定なのか」を一言説明してもらいたいです。

あまり試合時間が伸びてしまうのはよろしくないですから「○○に見えるので」や「ちょっと判断が難しかった」とか、そういうことで良いのではないでしょうか?

リクエスト制度に最も必要なのは、選手・スタッフ・ファンなど試合に関わる人々が納得できることが一番ではないかと思います。

判定一つで試合の結果が変われば、シーズンの成績やランキングに影響することもあります。チームや球団スタッフ、ファンも真剣に試合に向かっていることを汲んでいただけると良いですね。

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まとめ:リクエスト制度のルールと現状

リクエスト制度について、ルール・トラブル・成功率の3つから解説しましたが、まだまだ改善の余地がある制度だと感じます。

しかし、リクエストがあると球場のビジョンで観戦者も一緒にプレー映像を見ることができ、盛り上がることもありました。

さらに監督によっては試合中の流れを変える「間」を取る目的でリクエストを活用していたこともあったようで、新たな注目ポイントとしても面白い制度なのではないでしょうか。

今後は映像の最適化やルールの周知徹底で、より適切にリクエスト制度が活用されてほしいと思います。

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